インプラント、偽装|――場面その1――…広島の段原町に有る骨董屋の駐車場に一台の車が止まった。その車から降りてきたのは地元では有名な資産家で、初老を過ぎたばかりの小太りした男性であった。訪ねてきた目的は骨董屋にあるのではなく、その二階にある古谷探偵事務所である。
資産家の男、大の役人嫌いで知られているが、金回りは良いので、この古谷探偵事務所から見ると大のお得意さんになっていた。
古谷所長……「今日はどんなご用事で?」
資産家の男……「息子がマンションを買う予定になったが最近、耐震強度偽造問題を耳にすることが多いから、希望している物件の構造に問題が無いか調査して欲しい」
本来、強度の偽造問題は公的機関が行うものであるが、元々古谷探偵事務所から見ると資産家はお得意さんであるし、資産家が大の役人嫌いであることを知っている関係で、この調査を引きうけざるを得ない状況になってしまう。
しぶしぶこの奇妙な依頼を引き受けた古谷であったが、マンションの偽造を見抜く(あるいは本当に行われているのか)調査するためにはマンションの建築現場に侵入し、相手に分らない(見付からない)ように調査する方法を考えないといけない。
古谷所長……「皆はどのようにすれば侵入し調査を進めることができると思う?」
調査員A……「マンション建築の現場に侵入する訳ですから、トラックの運転手に変装して調査を進めるのが良い方法だと思いますが」
調査員B……「その方法は良いアイデアだ。だけど誰がトラックを運転する?確かトラックを運転するためには中型免許以上が必要だろう。社員全員、普通免許しかもっていないと思いますが?」
古谷所長……「誰か中型免許を持っている奴いるか?」
静まり返る事務所内に続く
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